非行少女ヨーコ
配役は我らがやさぐれヒロイン緑魔子サマ主演のヨーコが東京で知り合う新人、谷隼人演じる予備校生ボンボン(谷の急造大阪弁も聞き物だぜ)との乱れた生活を周囲の大人たちが暖かく見守るなかその愛情に目覚めた彼らがしまいめにはヨーロッパへ「船で」新婚旅行にでかけていくという荒唐無稽なスジではあるがチョイ役で寺山修二が見事な東北訛りを聞かせるシーンがあったり、端役の大原麗子もでているそうだが発見できなかった。
スポーツカーに瀟洒なマンション、インテリア、ハーフのオカマ、トルコ嬢にゴーゴー喫茶と「昔の都会」の要素テンコモリなのも見ものだが、本作最大の見所(聴きどころ)は全編に流れるジャズである。それもそのはずクレジットには若き日のナベサダ、富樫、ヒノテル(尺八は山本邦山!)などそうそうたるメンバーが終結。映画音楽なのですべてが数秒~2分程度なのだがこれらをまともな尺で録ったらブルーノートからでていても(出てたら間違いなく和ジャズの名盤扱いされてたハズ)不思議でないようなモードの爆発ぶりなのである。天才たちの「単発バイト」的なフリーキーな雰囲気が逆によかったのかこの化学融合は最大の収穫だった。
そして、本編の象徴的に扱われる舞台のゴーゴーバーではこれらのジャズで踊るシーンが何度もでてくる。ビートルズの来日前であることからロック黎明期と仮定すれば、現在高尚な地位に鎮座するモダンジャズは当時の不良たちのロックンロールであり、ラップであり、ヒップホップであったに違いなくその敷居の低さに驚く。と同時に90年代後半以降のロンドンやN.Yのクラブシーンでは「ジャズで踊る」ということがひとつのカテゴリーとして認知されている事実にも驚く。
蛇足ながら来月サロンシネマで我らがやさぐれヒロイン緑魔子センパイ主演の「大悪党」「盲獣」(いずれも1968年作)のリバイバルがあるんで暇人&梶芽衣子系やさぐれ好きな人はぜひどうぞ。